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イラストに対する手描きとCGの関係 その2

さて昨日の話の続きになりますがアナログとデジタルの関係ですが今回はデジタルに関して話してきたいと思います

例によって長くなるので読まれる人は続きを読むからどうぞ

で、デジタルの良い点から上げていこうかと思いますがやっぱり一番に思いつくのはこの二つですね

・アンドゥとリドゥ

・変形や編集の容易さ

アンドゥリドゥは要はやり直しのことですな

コンピューターのソフトにはまあだいたいのものについてる機能だけど世の中のCG絵描きのほとんどがこの機能があるからコンピューターで絵を描いてるっていってもいいほど重要なものですからね

間違ってもやり直せるからアナログで描くときみたいな無駄な神経使わなくて済みますからね

僕の脳みそがPCのメモリだとしたらアナログで絵を描いてる時は常にミスを犯さないように集中する神経が常駐プログラムのように働いていてそれがメモリの30~40%を占めてると考えてください

でもコンピューター上で作業するときはそんな神経極力使わなくてもいいのでその常駐プログラムをオフに出来ます

そうすれば脳内に空き容量が増えてそれを描画のための思考に使えるわけです

次に変形と編集ですけどこれはデジタルってかPhotoshopのことなんだけど色調補正やフィルタを加えるだけでかなり見た目が変わるし自由変形とかを上手く使えばデッサンぐるいなんかも修正できますね

今回の絵も失敗した部分をフォトショでいくらか直してあります

前回書いた通り新しい塗り方はアナログ工程では失敗を度外視して効果を出すことに重点を置きましたからいつもより失敗箇所も多いんですよね

例えばこれとか

1.jpg

うっかりはみ出しちゃって黒目じゃないとこまで赤が入ちゃってます

これだけ目立つ失敗だと普通なら1から作り直すレベルなんだけど今回は華麗にスルー

あとで修正できると分かってるのでそのまま触らずに置いときます

修正はコピースタンプツールとかで数分で終わってしまいます

他にはこれら

3.jpg4.jpg

5.jpg

ピンクの部分にブルーがはみ出ていてくすんだ色になってます

これらは上のレイヤーからブラシで塗って直してます

さて前回言ってたアナログとCGの割合ですけどそれはまあ人それぞれだと思います

人によっては線画だけアナログだったりアナログで描いた絵をフォトレタッチするだ絵だったり

最近はCGで塗ってアナログで作ったテクスチャを入れる技法がはやってますね

デジタルとアナログどちらに偏らせるか、それはとても難しい選択ですが僕は後者よりですかね

最近はラフ画から全工程をCGで済ませる方が多いですけど僕はちょっとそれは考えられないですね

最近コミック系のイラストではもっぱらCGが主流ですけど僕はもっとアナログ要素があってもいいと思います

そもそも本などのメディアで近年デジタルが重宝されてきたのは元は編集のしやすさや応用が効きやすいからだったはずです

イラストレーターたちも時代の変化に応じてCGを使う人が増えていったわけですががその結果アナログ時代の個性が少しづつ消えていった人も多いのではないでしょうか

ペイントツールの開発がかなり進んだ昨今でもコンピューター上でアナログの表現を再現できるソフトは多くありません

比較的アナログに近いと言われるPainterやArtRageでもそれっぽい表現になるというだけでパッと見でCGだなと分かってしまう事が多いです

最近のお絵かきブームで最初からCGで入った人は現行のペイントソフトでなんの違和感もないでしょうが今まで手描きで描いてきた人はCGだけで絵を作ろうとすると多かれ少なかれ画風が変わってしますのではないでしょうか

有名所で言うと鳥山明さんなんかは基本のデッサンはあまり変わってないですけど昔の絵の具で色を塗ってた頃の絵と最近のCGで色を塗ってる絵を比べると明らかに画風が違いますよね

CGというのはアナログでは不可能な操作が可能になった反面アナログできたことができなくなっているので一長一短なんですよね

このままCGの流行に押し流されてイラスト界でアナログの良さが風化していくのはいけないと思うんですよ

アナログを高精度で再現できるペイントソフトが完成するまであとどれほどの年月がかかるか分かりません

その間に日本のサブカル文化からアナログの要素が消えてしまったら大変なことです

僕はイラストにおけるアナログとCGの関係って映画や写真における実写とCGの関係に似ていると考えています

映画や写真では今やCGを使うことは当たり前になりました

撮影したものをフォトレタッチソフトやビデオ編集ソフトで加工したり映画の中に実写映像と3DCGを合成したりその手法は様々です

しかしこれらのコンテンツですべての工程をデジタルで行っているものは殆どありません

3DCGアニメなどは確かにありますが日本のイラスト業界のようにそのコンテンツ内でのマジョリティーではありません

大小色々ありますが何かしら実写要素が入っているのが普通です

じゃあなぜ写真や映画ではCGが実写を淘汰しないかというとそれは人間が無意識に現実の要素を求めているからではないかと思うのです

人間やっぱり現実感のあるものの方が見てて安心するものです

イラストでもやっぱりそれは同じでなないでしょうか

上で書いた最近CGで塗ってアナログで作ったテクスチャを入れる技法が人気なのは無意識にアナログの現実感に惹かれてるからではないでしょうか

pixivのランキングなんか見てても作業自体はCGでしていてもエッセンスとしてアナログっぽい要素がある絵がよくランクインしてる気がします

売れていて上手い人のほとんどは何かしらアナログ的な要素を持っているんだと思います

しかし最近のCG絵やアニメに憧れてイラストを始めた層っていうのはそういうことに気づかずCGに手を付けている印象です

実際自分がそんな感じだったんじゃないかと思います

絵のことを何も知らず漠然とCGを描く仕事に憧れて今の学校に入りました

しかし学校で初めていろいろなアナログ画材にふれて絵に関する知識と技術を学んだ結果、自分が憧れていたのはCGバリバリの絵ではなくてそこにはアナログの要素が含まれていたんだと理解しました

近年SAIなどの安価なCGソフトの出現でイラストを描く人が爆発的に増えました

しかしそういった人たちは過去の僕のようにCGに関して勘違いしてる人が多いと思います

僕は彼らに少しでいいからアナログの画材を触って欲しいと思う

CGの中にも確かに存在するアナログの流れを理解して欲しい

最近そう思うようになりました

そして僕には新しい夢ができました

今まではただ漠然と好きな絵で仕事ができたらいいなという理由でした

しかしいまは明確な意志と目的を持ってイラストレーターを目指せます

アナログを使った絵で有名になり日本の若者にアナログの良さを普及させること

これが僕の生涯の目標です